雷の時、いつ避難すればいい?
「ピカッ」と光った後から音が鳴るまでの秒数を数えて、雷が近いかどうかを推測したりしていませんか? この方法は昔のやり方で、今は、遠い近いに関係なく、「ピカッ!ゴロッ!」つまり音が聞こえたり光が見えたりした場合は、すぐにスポーツ活動を中断し、避難するのが鉄則です。
迅速に避難を行い落雷事故の被害に遭わないようにするためには、現場に居合わせている全員が、この鉄則を共通認識として持つことが重要であり、誰かの判断を仰ぐことなく速やかに行動に移せる体制をとっておくことが必要です。
避難を指示する役割は、責任者だけが担うのではなくそこにいる皆さん全員です。全員が落雷の兆候に目を向けるようにし、気づいた人が声を掛け合い速やかにその情報を共有するようにして避難しましょう。
雷の時、どこに避難すればいい?
「ピカッ!ゴロッ!」のタイミングで避難を始めたとしても、安全な場所に避難できていなければ、やはり落雷事故の被害に遭ってしまいます。
では、「安全な場所」とはどこでしょうか。屋根があるところに入れば安全だという意識はないでしょうか。
実は、閉め切った建物の中でないと、落雷のリスクがあるのです。落雷時に木のそばで雨宿りしてはいけないと言われるのと同じように、建物に雷が落ちた場合、近くにいる人に落雷の電流が飛び移る(側撃雷といいます)ことがあるからです。閉め切った建物の中にいれば、その心配はありません。
理想的な避難場所は、閉め切ることの可能な鉄筋などの広い建物の中です。ない場合には、同じく閉め切ることのできる金属製のバスや車などの中に避難するようにしましょう。あらかじめ安全な避難場所を確保することで、迅速に避難できます。
一方で、雷の時に避難すると、危険な場所もあります。危険な避難場所として、木や電柱など高いものの近くや屋根だけしかない場所があげられます。雨宿りをするような軒下は危険な避難場所の代表例です。
もし雷に当たってしまったら?
万が一雷に当たってしまったら、まず救急車を要請してください。
救急対応の基本はまず二次被害を防ぐことです。ご自身の安全を確保した上で、雷に当たった人に近づきます。落雷を受けた人に触るのは危険と思うかもしれませんが、被害者の体は電気を帯びていないので触っても危険性はありません。
雷に当たった場合には、心肺停止や意識障害、そしてやけどや鼓膜が破れたりします。まずいつもの緊急対応と同じように、意識や呼吸をチェックします。異常がある場合には突然心停止の緊急対応として、胸骨圧迫を行いAEDを使用してください。
いつ活動を再開していい?
安全な場所に避難をしたら、天候を常に観察するようにしてください。最後の雷から何もない状態が30分経過した後にスポーツや運動を再開できます。
あくまでも最後の雷から何もない状態が30分経過した後です。避難を始めてから30分ではありません。
スポーツ中の落雷事故を防ぐために
避難するタイミング、避難場所、再開するタイミングが、落雷事故を防ぐための重要なポイントです。
スポーツを始める前に雷注意報が出ている時には、練習や試合を中止することも視野に入れ、実際にどこで落雷や雷の発生が高まるかの情報を収集しましょう。そして、事前に危険が予測される場合には、危険を回避するための行動を関係者間であらかじめ共有しておき、躊躇なく安全な場所への避難行動に移れるようにしておきましょう。
スポーツ中の落雷事故の原因
・避難せずにスポーツを継続していた/避難するタイミングが遅れてしまった
・避難はしたけど、危険な避難場所に避難してしまった
・まだ落雷の可能性があるタイミングで再開してしまった
スポーツ中の落雷事故を防ぐためにはまず「知る」ことが大切です。あなたが「知る」ことも大切ですが、スポーツ現場にいる皆さん全員が正しい知識を共有することが重要です。
スポーツや運動時の落雷事故を防ぐために
- 「ピカッ!ゴロッ!」はすぐに避難
- 安全な避難場所は、閉め切ることの可能な鉄筋などの建物の中
- 最後の雷から何もない状態が30分経過してから再開
この3つのポイントを最低限、押さえておきましょう。
※当記事は(公財)スポーツ安全協会より記事提供を受けています。