PHV(Peak Height Velocity)
PHVとはPeak Height Velocityの略で、成長速度が人生の中で最大になる瞬間的なピークを指し、日本語では「最大成長速度」と訳される。また、このピークを迎える年齢はPHVa(Peak Height Velocity Age)と言い、選手の成熟度を測る上で重要な時点となる。日本人のピークの平均年齢は女子は11歳、男子は13歳と言われるが個人差が大きい。 このPHVaを正確に推定するためには、選手の成熟度を評価する必要がある。その方法には、主に以下の3つがある。 ・TW法 (Tanner-Whitehouse法): 左手のレントゲン写真を撮り、骨の成熟度をスコアリングして評価する方法。 ・Maturity Offset法: 身長や座高、年齢といった身体データから成長度を推定する方法。 ・BTT法 (Bayley-Pinneau法): 過去の身長データを用いて将来の身長の伸びを予測する方法。 PHVの時期(PHVaの前後)は、骨が急激に伸びるのに対して筋や腱の発達が追いつかず、身体のバランスが崩れやすい。そのため、オスグッド・シュラッター病のような成長期特有のスポーツ障害が起こりやすい危険な時期でもある。指導者は、これらの方法で選手の成熟度を把握し、暦年齢(誕生日からの年齢)だけでなく生物学的な年齢を考慮してトレーニングの強度や内容を調整することが、選手の傷害予防と健全な発育のために不可欠である。