法政大学第二高校バスケットボール部|データを蓄積し、成長フェーズに合わせたトレーニング内容で怪我も予防

ジュニア・ユーススポーツを指導するうえで、選手たちの成長期を考慮に入れることは欠かせない。ONE TAP SPORTSを導入し、成長期に多く見られる怪我や傷害予防につなげているという法政大学第二高校バスケットボール部。データが積み上がってくると客観的に選手一人ひとりの状態が見え、最適な指導へとつながっている。

インタビュイー

インタビュイー
金森 徹
法政大学第二高校バスケットボール部 トレーナー

1976年生まれ、岐阜県出身。高校部活動のトレーニング指導者(法政大学第二高校バスケットボール、野球、慶應義塾高校フェンシングなど)やパーソナルトレーナーとしても活動中。JATI-ATI(認定トレーニング指導者)、NSCA-CPT(認定パーソナルトレーナー)の資格を保有する。

選手一人ひとりの状態を知る。情報収集はコミュニケーションの大事な土台

法政二高のバスケットボール部の構成について教えてください。

  • 選手人数/66名(1年生23名、2年生20名、3年生23名)
  • チーム構成/2チームに分かれて練習。状況によっては3チームに分かれることも。
  • チームスタッフ構成/監督、コーチ2名、外部コーチ、顧問、トレーナー各1名。
    学年ごとにオリジナリティーがあることを伝統とし、学年ごとに「どうなりたいのか」を問い、選手たち自らが考えて取り組むことを基本としている。スポーツを高校で終わらせないための、先を見据えた体力づくりにも取り組む。

ONE TAP SPORTSを導入した経緯は?

金森徹トレーナー(以下 金森トレーナー) :2018年9月、丸の内スポーツラボ(ユーフォリア社主催による2018年開催のセミナー)に参加させていただき、傷害予防やパフォーマンス向上、それに成長過程にある選手の育成に関することを学びました。そのセミナーを運営する会社が、選手の疲労度や睡眠などを日々記録し、コンディションを「見える化」するONE TAP SPORTSを提供していると知り、興味を抱いたのがきっかけでした。

私は法政二高の男子バスケットボール部で非常勤のトレーナーをさせていただいています。そのセミナー参加時は既に使っていたツールがあり、選手が画面をスクリーンショットに撮ってその画像を共有してもらっていました。指導するうえで、スタッフ全員で瞬時に情報共有ができるものがないかと考えていたところでした。

通常、トレーナーがいくらいいと思っても、このようなツールの導入は簡単に進められるものではありません。学生スポーツは、プロとは違いコンディションを毎日管理・確認するレベルにはないと言われることもあります。しかし、成長期を迎えている選手たちを指導するうえで、私は選手の日々のコンディションに目を向けることが大事だと考えています。

そこでバスケ部の鈴木恭平監督にONE TAP SPORTSを使いたいと相談したところ、「金森さんが使いやすいものを導入しましょう」と理解いただき、即決してくれたのはありがたかったです。当初から、鈴木監督とは考え方や方向性が一致していたので、ツールをONE TAP SPORTSに変更するまでは早かったです。

選手のコンディションを可視化することで、チームスタッフが心をひとつにして、目標に向かっていけるというのも導入理由のひとつでした。それに、結果的に運用コストも下げることができました。

法政二高バスケ部キャプテン佐藤くん


佐藤悠真キャプテン(以下 佐藤キャプテン):
現在私は高校3年生ですが、1年生の夏まで別のツールを使っていました。使うツールがONE TAP SPORTSになると聞いても、以前からコンディション管理には取り組んでいたので抵抗はなかったです。

金森トレーナー:1年に3回ほど、選手のみんなには「トレーニング」や「ストレッチ」、「食事」など自分の体調・コンディションを知るための座学のみの勉強会を行っています。理解を深めることで自己管理意識も高くなり、多くの選手は、しっかりと毎日入力してコンディションを管理してくれるようになりました。自主性を重んじている法政二高男子バスケットボール部にとって、ONE TAP SPORTSはピッタリではないかと思いました。

法政二高バスケ部金森トレーナー
「学生スポーツでプロでないからこそ、むしろONE TAP SPORTSは必要。入力されているかどうかで選手のモチベーションも見えてくる」と話す、金森トレーナー

成長を予測し、最適なトレーニングメニューに。怪我予防にもつながる

導入後、どのように活用していますか?

ONE TAP SPORTS成長曲線画面
両親の身長と本人の身長測定データを入力することで、成長予測が立てられるのがメリットだという。人によっては数回、成長の大きな波が来る

金森トレーナー:中学生や高校時代の成長期には、それぞれのフェーズに合わせたトレーニングをすることが重要です。もちろん、チームが強くなることも大事ですが、選手たちが高校3年間を通じて怪我を防ぎ、バスケットボールを続けることができることも目指さなければいけません。そのためには、成長による身体の変化を日々キャッチして、最適なトレーニングを行いたいところですが、選手のコンディションをできる限り正しく把握しなければ、適切な指導は難しいのです。

ちなみに、日本バスケットボール協会の調査によると、男子選手の身長が最も伸びる平均年齢は13歳、体重が最も増えるのは15歳とされています。身長が伸びるときにひざの痛みが出ることがあるのですが、実際、チームの中にも痛みを訴える選手がいました。その選手は高校に入ってから9cmも身長が伸びたということもあり、ひざの痛みは成長のためだと考えられました。そこであまり負荷をかけたトレーニングをすると、故障や怪我につながってしまうので、ウエートトレーニングのメニューを減らしました。

実はその選手以外にも、ひざの痛みのために接骨院に通う選手がたくさんいました。これはまずいという話になり、個々の成長を予測するためにご両親の身長を入力し、定期的に身長を計測する取り組みを行うようになると、故障者はぐんと減ったのです。

選手とのコミュニケ―ションは変わりましたか?

法政二高バスケ部
選手ごとにそれぞれの状態が一覧で分かるようになっていると話す金森トレーナー。その画面を熱心な様子で見つめる選手たち

金森トレーナー:365日間、常勤で指導をしているなら、選手の様子や変化など細かいところまで把握しやすいかもしれません。でも、私は週に2回しか選手たちに会わないので、遠隔でも選手のコンディションが把握できることは重要です。ONE TAP SPORTSにデータが蓄積し始めてから、選手とのコミュニケーションも大きく変わりました。

導入するまでは、選手の様子を見て話をする中で怪我や痛みの原因を探り、傷害予防に取り組んでいました。ですが、今では蓄積したデータを見れば、選手の変化が手に取るように分かるのです。例えば、昨日は他校との練習試合があったのですが、ONE TAP SPORTSのインデックスの画面を見ると、出場選手のコンディションが落ちています。つまり、練習試合をして、疲労が溜まっている直後というのが一目瞭然です。一方で、疲労が溜まっていない選手は出場していない選手ということもデータを見れば分かります。

佐藤キャプテン:ONE TAP SPORTSを使い始めてから、いかに自分のコンディションを自身で認識するかが重要だと分かりました。今では朝起きて睡眠の情報や体調、体温や脈を測って入力。部活終わりに校門の前で選手たちは今日の疲労度を入力して帰宅します。毎日のルーティンになっているので、面倒ではありません。それに選手の中にはコメント欄に、「疲れている理由」などを書いている人も。対面ではわざわざコミュニケーションしないような些細(ささい)なことでも、ONE TAP SPORTSでは気軽に書いて情報を共有できるのでありがたいです。

IT活用でコロナ禍でもトレーニングを継続できた

新型コロナウイルスで自粛期間中、いつも通り練習できないという期間はありましたか?

 

 

法政二高バスケ部
練習もできない自粛期間中、選手が各自体調やを入力。おかげでZoomの画面からだけでは分からない状態を把握し、指導につなげられた

金森トレーナー:2020年3月から7月中旬まで、部活動は休止していましたが、週1回、Zoomを使ってチーム全員でトレーニングに取り組みました。いつでも再開できるように、選手のみんなにも自分自身でしっかりとトレーニングに取り組むことで体力づくりに力を入れてほしいと伝えました。キャプテンの佐藤くんは今よりももう少し細かったのですが、体重を増やすようにアドバイス。実際、4.5kg増えましたが、太ったというよりも身体がしっかりとした印象です。身長が伸びきると、体重が増える時期に入るのですが、成長に合わせた身体づくりをすることで怪我なく続けることができています。

佐藤キャプテン:活動休止の期間は自分の身体と向き合う時間と捉え、トレーニングを行い、ONE TAP SPORTSへの入力を欠かさずに続けました。そのおかげで部活が再開されるまでに、体力が落ちることはありませんでした。

金森トレーナー:新型コロナウイルス感染症が広がり始めたばかりのころ、周囲の知人からZoomは使いやすいという話を聞き、監督たちと実際に使用してみました。思ったより操作が簡単だったので、オンライントレーニングに活用することになりました。それに選手たちがONE TAP SPORTSに日々のデータを入力してくれたことで、遠隔でもコンディションを把握しやすいというメリットもありました。Zoomの画面だけだと、60名以上の選手の状態を一度に把握するのは難しかったのですが、ONE TAP SPORTSのデータも活用したことで、選手の育成を止めることなく継続できました。

チームとして今後の目標をお聞かせください。

法政二高バスケ部
写真左から今回、インタビューに応じてくれた佐藤正樹くん(2年/フォワード)、佐藤悠真くん(3年/キャプテン/フォワード)、新藤 玄くん(3年/ポイントガード)

佐藤キャプテン:10月上旬にウィンターカップの予選の神奈川県大会が開催される予定です。昨年(2019年)は準決勝で敗れてしまいましたので、今年こそは優勝を目指してチーム一丸となってがんばります。(コメントは、2020年9月インタビュー時。※法政二高は神奈川県大会で準優勝)

金森トレーナー:チームが定める目標に向かって、これからもONE TAP SPORTSを使いながら、サポートに尽力していきたいと思います。

 

取材・文/松葉紀子(スパイラルワークス)  撮影/堀 浩一郎