怪我や体調管理がクラウド管理でき、ラグビー日本代表が導入しているのも決め手に
まずサッカー部の構成について教えてください。
- 選手人数/100名
- チームスタッフ構成/監督1名、コーチ2名、GKコーチ1名、トレーナー1名(非常勤)、今春からトレーナー3名体制へ拡充予定
ONE TAP SPORTSを導入したきっかけを教えてください。
荒瀬陽介監督(以下荒瀬監督):チームに2015年からコーチとして入り、2年目から監督を任されていましたが、最初の頃は指導体制も整っていませんでした。その当時からサッカー部が抱えていた課題は選手11人のメンバーが良いコンディションの状態で全員そろわないことでした。
ONE TAP SPORTSの導入前は怪我をしている選手が多く、大切な試合で最善の布陣で臨めないというのが悩みでした。なるべく怪我を事前に予防したいと思っていて、自身が横浜でサッカーをしていたときからお付き合いのあったトレーナーの宗 優志(そう まさし)さんに「力を貸してほしい」と声をかけたんです。
宗 優志トレーナー(以下宗トレーナー):北越高校サッカー部のトレーナーを任されたのは3年前。普段は横浜で鍼灸院を開業していて、北越高校に来られるのは月2回程度です。来たときには2〜3日間、滞在して選手をサポートしていましたが、限界を感じていました。
新潟にいないときには、20人くらいの選手からLINE経由でコンディションや怪我について連絡が入ります。ただLINEでは一人ひとりの管理が難しく、煩雑なやりとりになっていました。選手から来た情報をコーチングスタッフに共有するために文章を書き直すだけでも大変。そこで選手の情報を一元管理できるクラウドサービスを探していました。
練習メニューやアドバイスも選手の状態に合わせて微調整できるように
他社のツールも検討されたのでしょうか?
宗トレーナー:食事管理に優れたもの、怪我予防管理に優れたものなど、ソフトウエアによって強みは異なります。今回、北越高校の課題を考えると最適だったのが、ONE TAP SPORTSでした。怪我の管理ができ、体調の管理も数値化できます。それらのデータを基に選手にフィードバックを効率的にできるのがポイントでした。
荒瀬監督:ソフトウエア選定の際にはチームの課題を解決できるものを選んでいただきました。ちょうど導入が決まったタイミングで、スマートフォンの学校への持ち込みがOKになりました。教員や顧問の許可のもとで使用できるようになり、ONE TAP SPORTSへの入力も手軽に行えるようになりました。それにラグビー日本代表が導入しているという実績もあったので信頼できたというのも導入の決め手でした。
導入してから、チームの状態に変化はありましたか?
荒瀬監督:チームに所属しているのは約100人。そのうちスタメンとして11人の登録メンバーがいますが、怪我で全員そろうということがありませんでした。しかしONE TAP SPORTSの導入後、怪我が明らかに減りました。睡眠、練習後の疲労度などを数値で入れていくことによって、選手自身が自分の体調を客観視できるようになってきたのだと感じます。
監督の立場で言うと、練習メニューを検討する際に役立っています。試合に合わせて、負荷の大きな練習をしたほうがいい、とか、軽いほうがいいなどと考えてトレーニングを計画します。実際、軽いと思ったメニューでも選手がこちらの想定以上に疲労している場合があるというのが、ONE TAP SPORTSの「主観的運動強度」(RPE)の入力値で分かり、メニュー検討にも役立てられるようになったのは大きいです。
宗トレーナー:私の場合は、管理の煩雑さから解放されました。選手一人ひとりの疲労度、健康状態の管理が容易になり、怪我をした際にリハビリを目的とした動画を用意しているのですが、その共有もONE TAP SPORTS上で簡単にできるようになりました。
また、月ごとに睡眠時間や障害の発生率などを点数化し、選手にランキング形式で共有。その結果、怪我の事前予防とパフォーマンス向上につながっています。このように少し先をいくサポートができるようになってきました。
荒瀬監督:一番大きな変化は、怪我が減ったことです。主力メンバーがそろうことでチームとして最大限の実力を発揮できた結果、インターハイでの好成績につながりました。今後は怪我防止だけでなく、体重などフィジカル面の強化にももっと活用できればと考えています。
今後の課題は、怪我と体調の相関関係を見つけること
2019年8月、インターハイでベスト8に入り、今後の目標は?
荒瀬監督:昨年、インターハイでベスト8に入ったことで、全国高校サッカー選手権大会での全国制覇も夢ではないと思っています。選手たちの状態もどんどん良くなっていると感じています。
宗トレーナー:疲労度や睡眠などの主観的データと怪我の相関関係はまだ見えていませんが、2020年4月からは専属トレーナーが常駐できる体制に変えるので、私は引き続き横浜からそのトレーナーと連携しながら、選手一人ひとりのさらなるコンディション向上につとめたいと考えています。これまで以上に荒瀬監督、選手たちをサポートできればと思います。
最後に選手の皆さん、それぞれ使用してみての感想を教えていただけますか。
加藤雅久(かとう がく)キャプテン:ポジションはMFです。導入前、どういうソフトウエアかは分からなかったのですが、身体についてもっと管理をしなくてはと思っていました。実際、使い始めてみると、食事はもちろん、体重の増減などの管理もしやすくなりました。私自身、体重がなかなか増えないのが悩みなのですが、全国で闘うためにはしっかりとした身体づくりをするのも大事だと思っています。このソフトウエアを使い始めてから、管理が容易になり、1、2キロ増やすことに成功。今後は全国大会に向けて、もっと活用していきたいと思います。
夏見晟士(なつみ あきと)さん:導入されるときには、毎日続けられるか不安でした。でも思ったよりも簡単で続けやすかったです。私は1年生のときに左ひざの半月板の手術をして6カ月間休み、2年生の6月には捻挫をするなど怪我に悩まされてきました。そのため、怪我予防ができるONE TAP SPORTSは頼りになる存在です。食べる量は同じでも、体重の増減が激しいので、それを一定に保ってコンディションを整えるのを意識するように変わったのは良かったと思います。
三島旭陽(みしま あさひ)さん:以前から体調管理をもっとしっかり行いたいと思っていました。目標があるので、入力が面倒だとは思いませんでした。ウエートを行ったり、厳しい練習を行ったりしたら、どんな変化があるのかを知ることができるようになりました。例えば、月曜日や火曜日など、週の初めに厳しめのトレーニングを行うと、試合に向けて自分のコンディションを上げていきやすいというのが分かりました。
取材・文/松葉紀子(スパイラルワークス) 撮影/内藤雅子