LP BASE Toranomon|アスリートからビジネスパーソンまで、コンディショニングを包括的にサポート

「コンディショニング」と一言で言ってもその内容は幅広く、アスリートを例にとっても睡眠や食事、フィジカルの強化・維持、メンタルなど多岐にわたる。そういったコンディショニングサービスを、トップアスリートのみならず一般ビジネスパーソンへも提供しているパーソナルジム「LP BASE Toranomon(株式会社ライフパフォーマンス)」に、ONE TAP SPORTSを活用してどのようなサポートを行っているのか伺った。

インタビュイー

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大塚 慶輔
株式会社ライフパフォーマンス代表取締役、なでしこジャパン・U-20日本女子代表フィジカルコーチ

1977年生まれ、北海道出身。筑波大学大学院を修了後、フィジカルコーチとして、JEFユナイテッド市原・千葉や大宮アルディージャなど数々のJリーグチームでの指導をはじめ、筑波大学附属駒場中高校サッカー部やアルビレックス新潟ユースなどの育成年代の指導も歴任。豊富な知識・経験を基に多くのアスリートの成長に寄与している。2017年、株式会社ライフパフォーマンスを設立。パーソナルジム「LP BASE Toranomon」「LP BASE Setagaya」を運営する。また競技時間(運動)だけでなく、栄養や休養といった生活習慣を包括的に管理する「スポーツライフマネジメント」の重要性を広く啓蒙する活動の一環として「アスリートサポーター養成講座」を立ち上げた。

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阿久津 洋介
株式会社ライフパフォーマンス LP BASE Tranomon パフォーマンスコーチ、日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

1989年、千葉県出身。国際武道大学大学院 武道・スポーツ研究科修了。国際武道大学で職員を務めていた際、酒井高徳選手のトレーニングキャンプを大学の施設で行い、大塚氏をアテンドした。その後、ライフパフォーマンス設立のタイミングで大塚氏から参画の要請を受け現職。

怪我や体調データ、グラフ化、食事写真の共有、コメントのやりとりのすべてを一元管理できる

パーソナルトレーニングジム「LP BASE Toranomon」の成り立ちと、ジムのサービスについて教えてください。

株式会社ライフパフォーマンス代表取締役 大塚 慶輔氏
ライフパフォーマンス代表の大塚慶輔さん

大塚さん:私はアルビレックス新潟ユースにいた頃から酒井高徳選手(現・ヴィッセル神戸所属)をサポートしていて、「パフォーマンスを上げるためには生活習慣が大事」という話をしていました。その後、彼がドイツのチームに移籍した際、「一人では管理しきれないので、遠隔でサポートをしてほしい」というリクエストがあり、2013年からトレーニングだけではなく栄養やリカバリーも含めたサポートを開始したんです。当時はまだONE TAP SPORTSはなく、Googleスプレッドシートで体調データ入力や分析、共有を行っていました。

スポーツ栄養士やスポーツドクターといった専門家とチームを組み、日本から酒井選手を8年間支え続け、一定の成果が得られました。この取り組みで得た知見はいろいろなスポーツ選手に適用でき、一般の方々に向けても適応できると確信したため、2017年に株式会社ライフパフォーマンスを設立することに。現在は東京・虎ノ門にあるパーソナルトレーニングジム「LP BASE Toranomon」を運営しています。こちらのジムでは、トップアスリートの指導を行っている経験豊かなトレーナーが、毎日のコンディションチェックにONE TAP SPORTSを活用し、会員の方一人ひとりの目標やコンディションに沿ったサポートを行っています。

阿久津さん:私は「パフォーマンスコーチ」という立場で、怪我など身体に大きな問題がない状態から、どうパフォーマンスを引き上げていくかを考える役割です。会員の方が目指すパフォーマンスの実現や抱えている課題の解決に対して、ONE TAP SPORTSのデータを活用しながら、フィジカル面だけではなくライフスタイル全般を見てサポートしています。

一方で、ジムには「パフォーマンスセラピスト」という役割のスタッフも在籍しており、彼らは怪我をしてパフォーマンスが出しづらい方に対してケアを行い、身体や心に問題がない状態に戻していきます。その状態からパフォーマンスコーチが引き継いでパフォーマンスを引き上げていく、というジム内で一気通貫した体制を敷いているんです。サポートの仕方など、実際に行っていることはスポーツ選手も一般の方も大きくは変わりません。

LP BASE Toranomonメソッド

LP BASE Toranomonのサービス概要。アスリートであればよいプレーをし結果を出すこと、一般の方の場合には学力アップや業績アップなどを目標に、各種専門家と共に生活習慣を含めたトータルサポートを行う

会員にはやはりスポーツ選手が多いのでしょうか?

株式会社ライフパフォーマンス LP BASE Tranomon パフォーマンスコーチ 阿久津 洋介氏
パフォーマンスコーチの阿久津洋介さん

阿久津さん:スポーツ選手と一般の方の割合は半々です。契約アスリートは約30名ほどで、競技はほぼ9割5分サッカーですね。中には海外チームに所属している選手もいて、遠隔でサポートしています。一般の会員の方も20~30名ほど。下は「将来はサッカー選手になりたい」という小学生から、上は60代の方まで幅広い年代の方にご利用いただいています。

ONE TAP SPORTSを導入した経緯は?

酒井高徳選手
酒井高徳選手が脚の入れ替えをする際に、適切な足の接地位置を学習するためのトレーニングを行っている様子。プロアスリートも調整に訪れる

大塚さん:私は何十年も前から、どのタイミングで、どういう条件がそろったらパフォーマンスが高くなるのかを選手自身でチェックできるようにQCシートと呼ばれる手書きのシートを使用していました。

2013年に酒井選手を担当した際は、日本からドイツへの遠隔サポートが必要だったため、Googleスプレッドシートを利用することに。項目は主観のコンディション、睡眠時間、疲労度など。そのデータをドクター、栄養士、トレーナー、コーチがチェックし、フィードバックを行うんです。しかし、データから一つ一つグラフを作成したり、更新するたびに関係者にメールや電話連絡したりなど作業が多く、煩雑でした。

そんなとき、当時ラグビー日本代表で実績があったONE TAP SPORTSの代表から、サッカーで使ってもらえないかとご連絡をいただいたんです。ONE TAP SPORTSのシステムは私たちが今まで行っていたデータ管理と親和性が高いことが分かり、さらにクラウドで一元管理でき、データを自動でグラフ化できるので、今までやってきたことがよりスマートに、早くなるという点で導入を決めました。

ONE TAP SPORTSを導入することで、どんな変化がありましたか?

大塚さん:特に魅力的だったのは、今まで個別で管理していた、栄養やメディカル情報といった多様なデータを一元管理できることです。関係者全員がひとつのプラットフォームで、遠隔で最新情報を確認できて便利でした。そのため2017年にこのジムを立ち上げた後も、ONE TAP SPORTSを使用しています。

阿久津さん:ONE TAP SPORTSを使って、さまざまな項目を数値化してチェックしていくと、「あの時はなんとなく調子が良かったな」ではなく、「あの時良かったのはこうだったから」と理由が明確化します。そうなると、サポート側だけでなく、選手自身も、自分は何をするとどういう反応が出るのかが、自然に分かるようになります。

専門家とともに食事や睡眠などの生活習慣までトータルで支援、遠隔サポートも強みに

サッカー選手のサポートでは、ONE TAP SPORTSをどう活用していますか?

ONE TAP SPORTSコンディショングラフ
「熟睡感」がグラフ表示されている

阿久津さん:一般の方と大きく違うのは、試合などの影響で運動強度に大きな波があることです。もし運動強度が上がっていた場合でも、普段と同じものを食べていたら、栄養に偏りや体重減少につながることも考えられます。だから、運動時間や強度が大きいようなデータが見られた際には、食事についてのアドバイスをしたり、気候も考えて水分補給のアドバイスをしたり、細かなアプローチを行うため、体重変動や疲労感など常に注視しています。

またサッカー選手の中には、ナイターゲームの際に会場の強い照明を浴び続けること、観客の大きな歓声、高強度運動により、あまり眠れなくなってしまうこともあります。そういった場合は、睡眠時間や熟睡感に関するデータを検証したり、本人のその日の行動や身体の反応をヒアリングして解決手法を提案しています。

大塚さん:私たちはジムを訪れる選手個人をサポートしており、選手が所属するチームから依頼を受けているわけではありません。ですが、選手がうちに通っていることをチーム内でオープンにしている場合、どのようなサポート体制で具体的に何をやっているのかチームに伝えます。チーム側からすると、全体を見ていて個々人を細かくサポートできないこともあるので、情報共有を行いながら進めているんです。逆にチームの方から、改善してほしい点などリクエストを聞くこともあります。

コロナ禍という苦境の中で、ジムの運営に影響はありましたか?

大塚さん:確かにコロナ禍で私たちのジムも大きな影響を受けました。しかし、もともと海外にいる選手の遠隔サポートを行ってきたので、原点に戻ることの大切さに気付く機会だった、とも思います。

私たちは現在、初回サポートはリモートで行っていますし、リモートで支え続けてきた選手もいます。福岡の高校のサッカー選手、川西翼さんは、当初試合にも出られず、ベンチでチームの応援をしていた選手です。そんな彼が、「自分の特徴は?」「これからどうなりたいか?」と目標設定を明確にし、頭の中を整理していきました。すると徐々にステップアップしていって、最終的には主力選手になり、インターハイにも出場。その後も高い目標を掲げて努力を続け、今年ついに海外のチームとプロ契約をして渡航しました。

仕事に対するストレス対処、業績アップのために、ビジネスパーソンもジムを活用

スポーツ選手以外の会員の方には、ONE TAP SPORTSをどう活用していますか?

LP BASE Toranomonカウンセリング

阿久津さん:ビジネスパーソンの方の健康管理にONE TAP SPORTSを生かしています。具体的な事例を挙げると、毎日8時間睡眠をしているけれど、8年間毎日頭痛に襲われる、という悩みを持った方がいました。ONE TAP SPORTSでデータをみると、睡眠を阻害する食事をしていることが明らかになったのです。そこで食事の内容を改善し、呼吸機能を改善するエクササイズをお教えしたところ、睡眠が改善したことがあります。

スポーツ選手に運動強度の波があると言いましたが、一般の方にも一日の行動量や仕事に対するストレスなど波があるんです。営業の方であれば歩いた歩数を記録してもらい、活動量と睡眠との影響について調べるなどしています。またデスクワークが中心の方には、30分おきに遠くを見る、水を取りに行くなど、シチュエーションに変化を与えるようアドバイスすることも。生活習慣を少しでも変えていくことで、健康やパフォーマンスに大きな影響を与えるんです。

大塚さん:自己管理ができるようになると、身体が変わった感覚やその理由を言語化できるようになり、自分の中で整理されていきます。そうすると、自らのパフォーマンスを上げるためには、何を改善したらいいかが分かってくるので、選手の場合はチーム内で主軸になるキャプテンを任されたり、発言力のある選手になったりする。一般の方だったらキャリアアップすることもあるわけです。

スポーツ選手と一般の方では、入力項目は変わるのでしょうか?

阿久津さん:メンタルトレーニング指導士のアドバイザーに相談したところ、スポーツ選手の「モチベーション」という項目は、一般の方にはイメージが湧きづらいということになり、「やる気」という言葉に変えています。それから主観的な運動強度を入力するのはスポーツ選手だけにして、一般の方については、それぞれカスタマイズしながらご利用いただくようにしていますね。

ジュニアのスポーツ選手、法人向け・ビジネスパーソンへとサポートの幅を広げていきたい

ONE TAP SPORTSを活用する際、意識していることを教えてください。

阿久津さん:私たちは、初回の「セットアップ」をしっかり行います。まずは「なりたい自分」を想像し、短期、中期、長期で目標を掲げ、現状との差を把握するんです。そうすると自分の中で「これをやっておかないと、ここまで行けない」と、目標達成のプロセスが明確になる。もしトレーニングを進めていく中で課題が出てきた場合は、そのセットアップを調整していくようにしています。

ONE TAP SPORTSでは簡単にメッセージのやりとりもでき、会員の方々へ毎日フィードバックコメントを送っています。疑問など相談があった場合には、なるべく早く対応するようにしていますね。たとえば「肩に痛みがある」と連絡が入った3時間後ぐらいには、肩の痛みを緩和する動画を共有し、専門家のエビデンスに基づいたアドバイスを送る。即座にアプローチしていくと、受け取った会員さんもその日のうちにアクションできる。その積み重ねが生活習慣の変容へつながっていくのです。

最初に徹底してセットアップを行い、そして、日々こまめなフィードバックをしていますので、ONE TAP SPORTSへ入力しない日があるような会員さんは、ほぼいないですね。

今後はどんなビジョンをお持ちでしょうか?

株式会社ライフパフォーマンス代表取締役 大塚 慶輔氏

 

大塚さん:私たちはサッカー選手のサポートに特化していることが強みだと思っています。だから「サッカー選手になりたい」「もう少しサッカーがうまくなりたい」という中高生スポーツ選手を支え、レベルアップ・育成していくようなサービスを提供したい、と考えているんです。

もうひとつは、ビジネスパーソンに対するサービス。リモート勤務が広がってきている世の中で、一番不健康になってきていると感じるのは、実はビジネスパーソンです。運動量が極端に減って、生活習慣病のリスクが上がることも予想されます。そうならないためにどうしたらいいのか。また直接対面する機会が減る中で、どのように人とコミュニケーションを取っていくのかといった、法人向けのサービスも考えています。より多くの人たちのライフスタイルを整え、コンディションやパフォーマンスの向上をサポートしていきたいですね。

 

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取材・文/キャベトンコ  撮影/下山展弘