日本体育大学柏高校サッカー部|怪我の予防に「疲労度」をモニタリング。コンディション情報を蓄積し、チームの資産に

柏レイソルと相互支援契約を結び、未来のJリーガー輩出が期待されている日本体育大学柏高校サッカー部。一昨年は33年ぶりにインターハイへの出場を果たし、今年はさらに高みを目指している。今年監督に就任した根引謙介氏は、「選手に最高の時間を過ごしてほしい」と熱く語る。

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根引 謙介
日本体育大学柏高校 サッカー部監督兼アカデミーコーチ

1977年生まれ、大阪府出身。Jリーグ柏レイソルでプロサッカー選手として活躍後、2007年からは柏レイソルスクール、アカデミーのコーチとしてチームの育成にあたる。2019年から日本体育大学柏高校サッカー部コーチを務め、2021年1月に監督に就任。

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八木 治之
日本体育大学柏高校 サッカー部トレーナー

スポーツ専門の理学療法士としてクリニックに勤務しつつ、チーフトレーナーを務める。2011年に次男がスカウトされたことがきっかけとなり、チームをサポートし続けて10年目となる。

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須藤 大智
日本体育大学柏高校3年生 サッカー部副キャプテン

チームの副キャプテン。ポジションはDF。栃木県出身。3歳からサッカーを始める。高校最後の1年を迎え、関東プリンスリーグ参入を狙う。

溜まった疲労が引き起こす、怪我の予兆に早めに対処

日本体育大学柏高校サッカー部の構成について教えてください。

  • 選手人数/110名(1年生45名、2年生35名、3年生38名)
  • チーム構成/通常、4つのカテゴリーに分かれて練習している。1年生でひとつのカテゴリー、その他は2、3年生が混成。
  • チームスタッフ構成/総監督、アドバイザー、監督、コーチ4名、外部コーチ(GK)1名、顧問4名、トレーナー3名、医師(整形外科)1名、サポートコーチ2名

ONE TAP SPORTSを導入した経緯は

日本体育大学柏高校 サッカー部監督兼アカデミーコーチ 根引 謙介 氏

根引謙介監督

根引監督:ONE TAP SPORTSを使い始めたのは、2019年の9月から。導入のきっかけは、体温の管理でした。当時は選手一人ひとりが毎朝自分の体温を測り、その結果を現副キャプテンの須藤が聞き取り、手書きで記入していました。これだと選手の負担になってしまうので、便利な方法はないかと思っていろいろ検討していたとき、体温を入力できる機能があるONE TAP SPORTSの存在を知ったんです。

八木さん:当時ヘッドコーチだった酒井直樹さんから「こんなのあるよ」と聞いたのが、最初だったと思います。サッカー部と相互支援契約を結んでいる柏レイソルでの実績があるということで興味を持ち、機能をいろいろ確認した結果、「これは便利だ」となり導入が決まりました。

ONE TAP SPORTSをどのように活用していますか?

日本体育大学柏高校 サッカー部トレーナー 八木 治之 氏
トレーナーの八木治之さん

八木さん:現在、ONE TAP SPORTSは2年生、3年生の選手が使っています。ツールの活用にあたって、チームのメディカル担当として意識しているのは怪我の予防です。選手は皆まじめなので、練習を頑張りすぎて気付かないうちに怪我を引き起こしてしまうことがあるんですね。骨折や捻挫の予防は難しいですが、疲労性障害は日々の状態をチェックすることで、予防することができます。
そこで選手には腿(もも)裏・腿前の筋肉の張りや違和感や疲労度など、怪我につながりやすい項目は入力してもらっています。日々の変化にすぐに気付くことができるという意味で、ONE TAP SPORTSのデータは役立っていると思います。

根引監督:コーチングにおいてONE TAP SPORTSで重視しているのは、まず疲労度ですね。トレーニングメニューを作る際、理想とする疲労の波がちゃんと作れているかを確認し、怪我を防ぎながら必要な負荷をかける調整に活用しています。
選手に個別に対応するためにデータを見ることが多いですね。例えば腿裏の筋肉に違和感がある選手がいれば、その日はその部分を酷使するメニューは外れてもらうなど、細かな調整をしています。

八木さん:練習内容や強度、公式戦や練習試合の出場時間と、選手が入力した個々のデータをチェックして、怪我予防に役立てています。例えば体重は、試合日前後の1週間をグラフにして、1%以上減少したら水分・栄養摂取の量やタイミングをアドバイスしています。また、アスリハ中の選手には、体組成データと入力項目でリバウンド確認しながら、怪我からの早期復帰をサポートしています。

選手として使ってみていかがですか?

日本体育大学柏高校3年生 サッカー部副キャプテン 須藤 大智 氏
副キャプテンの須藤大智さん

須藤さん:最初は体温、体重、疲労度の入力からでした。「ONE TAP」というだけあって、タップするだけで入力できるのがいいですね。私を含め、部員も入力に抵抗はありませんでした。今は毎朝体重を量り、寮の食堂で朝食を食べる前に疲労度などとあわせてまとめて入力している部員が多いと思います。

根引監督:ONE TAP SPORTSで選手が入力する数値は、自己評価(主観)が中心ですよね。導入当初は疲労度の評価が選手によってばらばらでしたが、入力を続けることで数値が安定し、2~3カ月後くらいからそれぞれが「自分の数値」を把握できるようになったと感じました。

客観的なデータの説得力が、選手とのコミュニケーションを強化する

ONE TAP SPORTSの活用で意識していることは?

八木さん:データがあると選手への説得力は増すんですが、その一方でデータばかりにとらわれないよう気を付けています。数値はあくまでも選手のコンディションを伝えるひとつの情報。その数値をどう理解し、活用するかが大切だと考えています。

根引監督:私も個々の数値ではなく、波を見ることを意識しています。その日の状態だけでなく、数日間の傾向としてとらえるようにしていますね。

八木さん:ONE TAP SPORTSのたくさんある入力項目の中で、選手に何を入力してもらうかは悩むところです。選手のコンディショニングにつながるか、負担にならないかを重視し、入力項目を決めています。

ONE TAP SPORTS導入で変わったことは?

須藤 大智 氏

須藤さん:自分の状態がわかりやすくグラフで見られるのがいいですね。「最近疲れが溜まってるな」と客観的にわかるようになりました。あまり疲れていない日は、練習が終わった後に筋トレを追加したりしています。筋肉が張っているときは早めに整骨院でマッサージを受けたり、体重が増えてきたと感じたら食事をコントロールするなど、コンディショニングに役立てています。

八木さん:選手とコンディションを確認するときは、客観的な数値をもとに話せるようになりました。怪我をした選手を復帰させるとき、あのときこうだったからこうなったと、過去にさかのぼって答え合わせができるので、選手の納得度は高いです。以前はカルテで管理していたんですが、ONE TAP SPORTSのデータでカルテの内容をさらに掘り下げることができるようになったと感じています。
もうひとつは選手の意識ですね。毎日自分の状態を入力することで自分のコンディションに関する意識が高まり、トレーナーとして話がしやすくなりました。

根引監督:ONE TAP SPORTSを通じて選手がトレーニングメニューの負荷を振り返ることができるようになり、自分の身体に興味をもつようになってきたと思います。
ツールの導入にあたっては、選手自身が自分の身体を知るセルフコンディショニングにつなげたいと考えていました。自分が何をしたら熱が上がるのか、睡眠時間が少ないとどうなるのか、そうした状態で練習するとどうなるのか。自分自身を深く知ることは、パフォーマンス向上に欠かせない要素だと思います。

日本体育大学柏高校 サッカー部

選手の未来をつくる、データをチームの資産に

今後の取り組みは?

八木さん: 今後の取り組みとしては、ONE TAP SPORTSで蓄積したデータをもとに年ごとに疲労性障害で何が多かったかを把握できるよう、トレーナー間で入力項目を検討しています。障害の種類と選手の出場時間、アスリハなどのデータを組み合わせることで、いろいろなことが見えてくるのではと期待しています。
コンディションに関する情報は、チーム内世代間でもなかなか継承されにくいんです。でもONE TAP SPORTSなどのツールによって、勝利につながるコンディショニングのノウハウが先輩から後輩へ受け継がれるようになってほしいです。

チームの目標をお聞かせください。

日本体育大学柏高校 サッカー部

須藤さん:今まで成し遂げられなかった全国選手権への出場と、関東プリンスリーグに参入したいと思っています。

八木さん:私はトレーナーになってから今年で10年目になります。一昨年はインターハイに行きましたが、全国選手権はこれから。最後はコンディションが大事なので、そこにどうフォーカスしていくかを考えています。

根引監督:目の前の試合をひとつひとつ、勝ちにこだわって取り組んでいく。これがいま目指している全国選手権や関東プリンスリーグにつながっていくと考えています。選手に最高の時間を過ごしてもらうために、コーチングスタッフとしてこれからも努力を続けていきます。

日本体育大学柏高校 サッカー部
(写真左は、サッカー部トレーナーの毛利元樹さん)

 

取材・文/はたけあゆみ 撮影/堀 浩一郎